自分がいる環境が、広告代理店のすべてだと思ってしまう瞬間があります。
今いる会社のやり方、今の部署の仕事の範囲、今携わっているプロモーションの型。
それが「広告代理店の仕事」の全体像だと錯覚してしまう。
でも、実際はそうではありません。自分の経験だけに可能性をとどめてしまうと、見えるはずの選択肢が見えなくなります。
大手代理店は構造上、役割が細分化されている(されすぎている)
大手代理店では、業務がかなり細かく分業されています。
唯一営業だけが、案件の全体を見る役割を持っています。
それ以外の職種は、運用「だけ」、入稿「だけ」、レポート「だけ」という形で、機能ごとに分かれているのが実情です。
さらに、扱うプロモーションのタイプによっても部署そのものが分かれます。
認知ブランディング型のアッパーファネル向けプロモーションを担う部署と、
獲得目的のダイレクトレスポンス型のボトムファネル向けプロモーションを担う部署では、
求められるスキルも仕事の進め方もまったく違います。
大手代理店のメリット・デメリット
予算規模の大きいプロモーションに携われること。
これが大手にいる最大のメリットです。
デジタル広告の機能を最大限に引き出せるだけの予算を惜しみなく投下できる環境なので、広告本来の力を一番体感できます。
規模の大きさゆえの高揚感も、大手ならではのものです。
一方で、細分化された環境の中では、営業以外の職種は単調な作業に終始しがちです。
入稿だけ、レポートだけ、運用チューニングだけを繰り返す日々が続くと
自分のスキルが本当に広がっているのか、見えにくくなっていきます。
中小代理店のメリット・デメリット
一人の運用者が、全工程を担うことになるので地力がつきます。
人員が潤沢でないという構造上の理由から、入稿からレポーティング、運用のチューニング、顧客への報告、タグの埋設まで、一人でひと通りこなす必要があります。
分業されていない分、否応なく全体像が身につきます。
ただし、予算規模の小さい顧客が多いと、媒体の力を引き出すこと自体が難しくなります。
講じられる打ち手そのものが限られるため、デジタル広告の力強さを体感しづらいというのが、大手とは別の意味でのデメリットです。
ちなみに私は
・BEFORE|大手代理店(獲得型中心のプロモーションで営業)
・AFTER |中小代理店(ブランディング中心のプロモーションで戦略立案&運用)
といった具合に会社規模もプロモーションの型も、職種も全ての軸を変えた人間ですが
大手で当たり前だったことを中小に引っ張ってくる。組織を成長させていく。ということは非常にやりがいがあり、
営業で培ったリーダーシップが生きているのを日々実感しています。
「軸足を変える」にはいくつもの軸がある
ここまで見てきたように、代理店でのキャリアには複数の軸があります。
大手か中小か。獲得型かブランディング型か。
そして、営業か運用かという軸(これは別の記事で整理しています)。
多くの人は、最初に配属された軸の中だけで、自分の可能性を考えてしまいます。
大手の細分化された環境にいると「これが広告代理店の仕事だ」と思い込み、
中小で全工程をこなしていると、それはそれで「大きな予算を動かす仕事」を知らないまま時間が過ぎていきます。
自分の経験だけに可能性をとどめないというのは、今いる軸を否定することではありません。今の軸で得たものを土台にしながら、別の軸を知りにいく、ということです。
獲得型しか知らない人がブランディング型を知ると、なぜその手法が選ばれるのかという発想そのものが変わります。
中小で地力をつけた人が大手の予算感を知ると、同じスキルの使い方の幅が広がります。
軸を変えることも、選択肢のひとつ
今の環境で、意図的に別の軸の仕事に関わる機会を作れないか探ってみる。
それが難しければ、環境ごと変えるという選択も現実的です。
大手と中小、獲得型と認知型、それぞれの実情を理解した上で紹介してくれる転職エージェントであれば、次にどの軸を経験すべきかを一緒に整理してくれます。
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