代理店でのキャリアには、大きく2つの始まり方があります。
『営業職スタートのキャリア』そして『運用職スタートのキャリア』です。
私自身は営業からキャリアを始め、今は運用兼プランナー、そして若手営業の育成という立場で仕事をしています。
両方を経験したからこそ言えることを、ここに整理します。
先に立場を明かしておきます。
私は「営業」という仕事が、物事を動かすという観点で素晴らしい仕事だと思っています。
これは好みではなく、はっきりしたスタンスとして言い切ります。
(ちなみに「広告業界に関わる人は全員営業経験しろ」論者です、私は)
とはいえ、運用職にも運用職にしかない価値があります。
それぞれのメリット・デメリットを、できるだけフラットに並べていきます。
運用者キャリアのメリット・デメリット
メリット
デジタル広告の仕組みと技術に詳しくなれること。
これが唯一にして最大のメリットです。
運用の実務を積むほどに、そして手がける媒体の幅が広がるたびに市場価値そのものが上がっていきます。
検索広告(Search)のみならず、バナー広告や動画広告(Display、Video)も語れたら良いですし、ダイナミック広告やDSPなどにも明るいとものすごい魅力的な人材になります。
デメリット
- 顧客が何を求めているかを、自分で情報を取りに行きにくい構造になっている
- 営業側の動きが弱いと、どれだけパフォーマンスを出しても正しく理解されないことがある
- 一人で複数案件を抱え、キャパシティが限界に近づくと、ミスが増えて評価が下がりやすい
技術力は自分の努力で伸ばせますが、
評価や情報の流れは営業側の動き方に左右されます。
ここが運用者というキャリアの、構造的な弱さです。
営業職キャリアのメリット・デメリット
メリット
- 顧客の意思を社内に伝える、社内の方針を顧客に伝えるフロンティアとして機能
- 社内のリソースを総動員して、プロモーションや取り組みを成功に導くリード役になれる
- 頼られる、感謝される場面が多い
- 関係者間の調整をやり切ったときの達成感がある
- 市場価値が高い。
広告代理店の営業は、関係者が多くプレッシャーも大きい難易度の高い仕事で、どの業界に行っても通用する調整力・言語化力が身につきます。
デメリット
- 運用者が優秀だと、自分自身の専門性が育ちにくい
- 「業界にいた」というだけで、語れる中身がないと期待値を超えられない
- ただの伝書鳩になってしまうと、そこに価値は生まれない
営業は、扱う情報の量と関係者の多さで鍛えられる仕事です。
ただし、自分で専門性を意識して磨きにいかないと、経験年数だけが積み上がって中身が伴わない、ということが起こりえます。
どちらに向いているか
ここまでの整理から、判断の軸を出すとすればこうなります。
運用者に向いているのは、
技術やロジックを突き詰めることに没頭できる人。
一人で黙々と成果を出すことに満足感を覚える人です。
営業に向いているのは、
人と人の間に立って物事を動かすことに手応えを感じる人。
調整の負荷そのものをエネルギーに変えられる人です。
そして、あまり語られない選択肢として両方を経験するという道があります。
私自身、営業から始めて運用側に移ったことで、双方の言い分が判るようになりました。
運用者が抱える「情報が降りてこない」というもどかしさも、
営業が抱える「専門性がないと軽く見られる」という焦りも、どちらも自分の実感として理解できます。
若手育成の立場で見ていても、
最初にどちらかを極めてから、もう一方に越境した人は強いです。
片方しか知らない状態では出せない判断ができるようになります。
迷ったときの選択肢
どちらか一方に決めきれない場合、今すぐ大きな決断をする必要はありません。
今の環境の中で、もう一方の業務に関わる機会を作れないか探ってみる、という手もあります。
一方で、今の会社の中でそれが難しい場合、環境ごと変える選択も現実的です。
広告業界に特化した転職エージェントであれば、営業・運用どちらの経験も正しく評価した上で、次のポジションを一緒に考えてくれます。
(エージェントとの付き合い方もどこかで記事にします)
関連記事:
広告代理店「やめとけ」は本当か
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 関連記事:広告代理店「やめとけ」は本当か。続ける判断基準・移る判断基準 […]
[…] ここまで見てきたように、代理店でのキャリアには複数の軸があります。大手か中小か。獲得型かブランディング型か。そして、営業か運用かという軸(これは別の記事で整理しています)。 […]